9.29.2010

待っててん 「マチェーテ」



グラインドハウス」 のフェイク予告から出た真、 一足先に検閲させていただきました。 予想外に日本公開も早いし、 いい傾向ですな。 何でも日本ではジェシカ・アルバのシャワーシーンが下着付きに替わるとの噂で、 これはいただけませんな^ ^ 自分は しっかり拝ませていただきましたが。 。 (けっきょくCGらしいけど)

なぜか作品に似つかわしくない敬語で始めてしまい・・ いや、 いろんな意味で敬意を表していい作品だし、 むしろふさわしいか。 予想を裏切らない出来に、 いや予想を上回る出来に仕上がっているので、 11月の公開は乞うご期待!・・と終わってはいけない? もう少し書くか。

ジェシカ・アルバの他にリンジー・ローハンも出ているし、 出している^ ^ まあスタントっぽくはあるが、 とりあえず こちらも乞うご期待? 他にもナース、 シスターと予想外のお色気サービスもたっぷり。 スティーブン・セガール、 そしてデ・ニーロまでが悪役として出ている。 てっきりマイナーな作品と思っていたら、 意外な盛り上がりを見せているようだ。

のっけから360度回転 首チョンパなどが披露されて、 飛ばしぎみながら息切れせず '腸ロープ' へと続く^ ^ ちょっと息切れしたかなというところで今度はお色気。 最後はランチャー、 マシンガン、 ホッピング・カーまで登場。 サービス精神たっぷりで、 飽きさせない。

ストーリーはいちおうメキシコ国境がらみ、麻薬流通がらみで "Welcome to America" という皮肉が効いている。 しかし何と言っても決めゼリフは "MACHETE don't text." (マチェッテはメールしない) だろう^ ^ 悪者も味のあるキャラ造形となっているため、 単純に勧善懲悪のカタルシスに落ち着かないところはあるが、 エンディングのギャグのとおりに "MACHETE KILL" "MACHETE KILL AGAIN" も作ってほしいところだ。

エディター出身の監督らしく、 編集の妙で見せる迫力とお色気、 寒くなる気節はこれで暖まろう!





マチェーテ MACHETE (2010) 11/6公開予定 公式サイト 象のロケット 
監督 イーサン・マニキス+ロバート・ロドリゲス 
ダニー・トレホ ジェシカ・アルバ リンジー・ローハン 
ミシェル・ロドリゲス ロバート・デ・ニーロ ドン・ジョンソン 
スティーブン・セガール 

9.26.2010

1999 「ジュリアン」



唐突に取り上げるが、 今コレに再注目、 などのような さしたる意図があるわけではない。 たまたま見たのでエントリーしておこうというだけ。 ハーモニー・コリーン・・ やさしいから好きとかいうのはちょっと違う。 地面すれすれに飛ぶ感じが好きなのだ。

「ガンモ」 をフィルムフォーラムという小さな映画館で見たのも、 ずいぶん昔。 すでに自分の感性は鈍感になっていたのか、 大した衝撃を受けたわけでもなかったが、 それでも自分にとって気になるフィルムメーカーとなったハーモニー。 90年代を思い起こすときも、 その空気を象徴するかのようなこんなテイストがいつも思い出される。

この作品は 「ガンモ」 の後に製作されているが見てなかった。 あの頃はいちばん映画を見なかった時期でもある。 "ドグマ95" のマークが冒頭に挿入され、 その通りに全編 手持ち、 自然光。 最後にハーモニーの名前はクレジットされているが、 監督という肩書きはない。

粒子の粗い映像、 短いカットで追うのは、 ヘンテコな家族。 知的障害なのか分裂症なのかはよくわからないが青年ジュリアンは、 それでも盲学校の先生をしている。 姉は妊娠中だが父親は知れず、 弟は勝ったことのないレスラー。 母はなく、 父は弟に "負け犬にはこれが似合う" と母のドレスを出してきたりする嫌味な男。 あともう一人、 いつもマルチーズと戯れている祖母。 それがジュリアンの家族だ。 映画はそんなジュリアンの家族と周辺の人々を活写してゆくだけだが、 最後に悲しい出来事も起きる。

今回も特別 感銘を受けたわけではないが、 それでも鈍った感性の端っこに何かが残る。 それは恐らく文章化の難しい次元に属する何かで、 だからカットを多めにアップしてみたがそれでもアマチュアのポラロイド写真集くらいにしか見えないかもしれない。 本編の時間の流れの中でしか感じ取れない何かがそこにはあって、 そういう意味では紛れもなく映画的なのだが、 それすら古い8mmを引っ張り出して気ままに再編集したヘンテコな家族の肖像であるだけかもしれない。

しかしヘンテコな家族のフィルムは焼けずに実存し、 これをヘンテコと形容させるのは '標準化' の枠のなかに押し込まれた自分自身の常識的世界観であり、 そもそも自分がそれほど常識的な人間だとは思わないが、 それでもいつしか取り込まれているのだろうし、 ときおり こうしたヘンテコな作品に触れて '標準化' を解毒しておくのもいいのではないかと。




ジュリアン Julien Donkey-Boy (1999) 日本公開2000 
脚本・監督 ハーモニー・コリン  非公式サイト 
ユエン・ブレムナー クロエ・セヴィニー ヴェルナー・ヘルツォーク 
ジュリアン [DVD][DVD]

ミスター・ロンリー [DVD] ガンモ [DVD] ガンモ [DVD] BULLY / ブリー [DVD] ソナチネ [DVD]

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9.23.2010

泣きながら笑ってやる 「笑いながら泣きやがれ」



エジンバラ映画祭プレミア招待作品が、 見事に未公開DVDスルーとなっております。 ・・やがれ、 なタイトルにも一抹の哀愁が漂う^ ^

そんな気分に見事にフィットして登場したのは、 しがないスタンドアップ・コメディアン。 離婚した元妻からは、 ときどき娘を預かる程度の信頼は残されているが金は残されておらず、 家賃を滞納して大家からは立ち退きをせまられる。

スタンドアップ・コメディアンものとして思い出されるのが 「パンチライン」 (1988)。 パンチラじゃないよ.. トム・ハンクス x サリー・フィールドで描くスタンドアップ・コメディアン物語。 パンチラインとは 'オチ' のことだが、 あれはよかった。 ということで便乗期待でそこそこ引き込まれるものの、 NYとスコットランドの違いか、 こちらは全体的に地味。

それでもスカウトが観に来たり、 ようやく運が向いてきたかなという矢先、 旧友に出くわす。 その男は旧友と言うものの、 コメディアンの方は彼のことをほとんど覚えておらず、 このあたりからスリラーへと展開する。 どうやら復讐を企てているもよう。 しかし復讐が具体化する後半に向かうにつれて、 しだいに陳腐になり、 復讐の方法も、 え?その程度・・ という感じ。 拷問までが当たり前となった最近のハリウッドものに慣れた目には、 ソフトで優しい映画にさえ思える。

6歳になる娘がパパ~と飛びついてくるあたりは愛らしく描かれているが、 そこにはイノセンスという隠されたテーマがあったようだ。 けっして つまらなくはないが、 ステージで披露されるジョークは大して面白くない^ ^



笑いながら泣きやがれ CRYING WITH LAUGHTER (2009イギリス) 日本未公開 
監督 ジャスティン・モロニコフ 
スティーブン・マッコール マルコム・シールズ 
笑いながら泣きやがれ [DVD][DVD]


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9.22.2010

コンサート! 「オーケストラ!」



メラニー・ロランはきれいだ。 と、 バカっぽく書き出してしまったが、 彼女ってやはりユダヤ系なんだな。 日本にいて、 そういうことはあまり意識しないが 「イングロリアス・バスターズ」 でもユダヤの娘役だったし、 今回もそうなので意識せざるをえない。

フランス映画だとばかり思っていたので、 冒頭の、 サクラを調達するのに何万ルーブルとかいうところで、 ようやくロシアなのだとわかる。 ボリショイ交響楽団と社会主義、 ユダヤ迫害の歴史を傍らに置いているわりに重くは展開せず、 30年の時を経てカタルシスが得られるみたいな物語。 話の展開にフランス流のご都合主義が見られるものの、 まあ楽しく見られる。 フランスでは大ヒット作となったらしい。

しかし正直言って、 チャイコフスキーにこだわっているわりに そのあたりの説明も弱く、 音楽的な盛り上がりもやや薄味。 「のだめカンタービレ」 のほうがグッと来るかもしれない。 商売に走るロマとかギャグ的な部分にはあまり乗っていけず、 構成も大ざっぱな気がした。

だからある意味 メラニーしか見どころがないとも言え、 またビックリマーク付きの 'オーケストラ!' という邦題にも ひっかかりを覚える。 原題は 'コンサート' で、 英題などは Le が The に替わっているだけなので納得だが、 なぜ邦題だけはいつも不思議な変更を加えるのか、 大いに疑問に思う。 ビックリマークはマンネリだが まあいいとしよう。 問題はコンサートをオーケストラに変えてしまうこと。 コンサートもオーケストラも音楽的なものだし大差さないかもしれないが、 それならなおさら変える必要はない。 'ライブ' と 'バンド' が違うように、 コンサートというイベントをオーケストラという組織に変えてしまうことは、 コンサートという時間的な事柄をオーケストラという空間的な事柄に変換してしまうということ。 映画の内容からは、 そのような変換は不要あるいは改悪と感じる。

オーケストラにまつわる群像劇に擬態しようとしたのかもしれないが、 そうする商業的なメリットはあるのか? オーケストラの方が客は入るのか? 気分的としか言いようのないタイトリングは配給契約に抵触しないのか。 どんなに いい加減なローカライズをされても、 それが興行的にベストと判断しましたと言われると先方は何も言えないのだろうか。 どうでもいいことかもしれないが、 邦題は一度 見直されなくてはならない時期に来ている。


オーケストラ! Le Concert (2009フランス・イタリア・ルーマニア・ベルギー・ロシア)
監督 ラデュ・ミヘイレアニュ  日本公開2010 公式サイト 象のロケット 
アレクセイ・グシュコフ メラニー・ロラン フランソワ・ベルレアン 
ミュウ=ミュウ ドミトリー・ナザロフ アンナ・カメンコヴァ 

9.21.2010

ウブな消耗品たち 「エクスペンダブルズ」



もうすぐ公開の本作は男の美学というか、 まあ暑苦しい映画ではある。 「特攻野郎Aチーム」 とカブるところがなきにしもあらずだが、 こちらは超豪華キャスト! 数分ではあるがシュワルツェネッガーのスクリーン復帰にも注目。 そしてアクションは通好み。 速くて、 重くて、 渋く、 そして残忍。

エクスペンダブルというのは "消耗品" ということだが、 村上龍の 「すべての男は消耗品である」 とほぼ同じニュアンスなのだろう。 翻弄される中南米あたりの小国へ派兵されるが、 こりゃヤバイと言ってすぐに帰ってしまう。 しかし案内役となった娘を助けるために再び地獄へ舞い戻るエクスペンダブルズ。 さまざまな武器や格闘技能、 そして熱い魂でミッションを遂行するが、 この男っぷりに胸震わせる娘には "いつでも そばにいる" などとウブなセリフを残し '手つかずで' 去ってゆく。 この娘があまり美人でないところは予算の限界だったのか、 スタローンの好みなのかは定かではない。

ブルーレイのプレーヤーは持ってないのだが、 今回たまたまブルーレイで観ることとなった。 当然、 映像はキレイなのだが、 出演者の顔のシワまでマザマザと見せつけられることとなった。 ハリウッドでビッグになると言うことは大変なことなのだろう、 ようやく名も知られるようになった頃には、 かなりの歳を食っているという現実。 だから、 そのシワは勲章であっていいいはずなのだが、 スタローンだけは不自然に肌が引っぱられている気がした^ ^

シリーズ化を狙っているのだろう。 それにしても男同士のくだらない会話が多いので、 そこを取っ払った超クールな消耗品ならまた見てみたい気がする。 だがデートで見る映画じゃなさそうだし、 かといって男同士で見に行くのもどうかと思う。 。 一人孤独に見るのも違うだろうし、 シーン提案のない古風さが持ち味であることは今後も変わりなさそうだ。


エクスペンダブルズ The Expendables (2010) 10/16~ 公式サイト・予告 
監督・主演 シルヴェスター・スタローン  象のロケット 
ジェイソン・ステイサム ジェット・リー ミッキー・ローク 
ドルフ・ラングレン ランディ・クートゥア テリー・クルーズ 
ジゼル・イティエ カリスマ・カーペンター エリック・ロバーツ 
ブルース・ウィリス アーノルド・シュワルツェネッガー