7.30.2009

冴えない切れ味.. 「斬KILL」



「ターミネーター 斬KILL」 とかいうのもあるらしいが、 これは総監督 押井守のほう。 剣とかギャルアクションとかは嫌いではない・・というか むしろ大好きだが、 あまり乗ってけなかったなあ。 '斬' というわりに血しぶきは飛び散らず、 赤いサヤで峰打ちばかりするのがよくわらない一話目。 水野美紀って完全にアクションに転向なんだね。 でも刀が刺さるとき脇に挟んでるのがバレバレだし、 最後は脳を入れ替えたりする必要もない気がする^ ^
キリコ」 監督 辻本貴則/出演:水野美紀 森田彩華 山口祥行 

活弁士 山崎バニラをフィーチャーした二話目は、 小学生に刀を持たせたり切腹させたり、 アブナイ内容だが、 いじめ問題を取り上げたり、 もしかして面白くなるのかと思った矢先、 企画倒れと判明。 子分を殺して親分を逃がすのが武士の情け?
こども侍」 監督 深作健太/出演:溝口琢矢 今野真菜 大野百花 木村耕二 

妖刀の力を銃に取り込んで、 まさしく '銃剣' となった秘具を操る男たち。 微妙に面白い気もするが、 そのアイディアだけなんだな、 結局。 。
妖刀射程」 監督 田原実/出演:石垣佑磨 辻本一樹 
(追記:アイディア広場みたいなサイトで "ヌンチャク銃" というのを見かけた^ ^)

もっともファンタジックな雰囲気で始まる四話目は押井自身の監督だが、 雰囲気だけで終わる。 以上、 本日も思い入れのないエントリーでしたっ。
ASSAULTGIRL2」 監督 押井守/出演:藤田陽子 菊池凜子 


斬KILL (2008日本) オムニバス 公式サイト 

ややこしいタイトルをつけるな 「ホーンテッド・ハウス」



ときどき地味〜なのが見たくなる。 そんなときにぴったりの?お化け屋敷モノ・・ と思ったら、 全く違っていた。 それもそのはず allcinemaの記載が間違っている。 というか 同タイトルの1991年のTVM があるのだが、 そこに本作のDVDが表示されている。 Amazonへ行って そこのデータと見比べれば出演者やディレクターがまるで違うのがわかる。

DVDジャケットに書かれた原題らしき英文字は HAUNTED HOUSE となっているが、 これが間違いを誘発するのだろう。 そもそも邦題がおかしいのだ。 どこからホーンテッド・ハウスが出てくる? デザイナーがこれを逆に英訳しちゃって余計にややこしいことになっているのだろう。 1991のTVMは原題が THE HAUNTED で、 こちらの本当の原題は KOLOBOS、 切り刻まれたものとかいう意味のギリシャ語だそう。 "サキュバス" とかの系譜か。 家は出てくるが、 お化け屋敷ではない。 正しくはallcinemaのココに このDVDは表示されるべき。

そんなこんなで地味さは味わえなかったが、 これはこれで意欲的な?作品だった。 ローカル新聞の募集覧に "実験映画の出演者求む" という広告が掲載され、 集まったのは売れない女優、 売れないスタンドアップ・コメディアンなど5人の男女。 そのなかには精神科の施設に入っていて、 治療の一環として参加する女もいた。 女はリストカッターで不気味な絵を描いたりしている。 ポルノかB級ホラーだろうというみんなの予想に反して、 マジメそうな監督がピザを持って現れる。

カメラは室内のあちこちに仕掛けられている、 自然に振る舞ってくれればいい、 私は外のバンで様子を見ている。 監督がそう言い残して去った直後、 キッチンで一人の女が、 空を切って飛び出してきた円盤ノコギリによって切り刻まれる。 センサーに反応して飛び出す仕掛けになっていた模様。 スナッフフィルムという実録の殺人映画が流行ったが、 それだったのかと一同パニックになる。 が、 時すでに遅し。 すべてのドアや窓にはシャッターが下ろされる。 次々に殺されていく出演者たち。 一様に不思議なメッセージを残して。 "コロボス 今日 おまえは存在する" ・・

女が見た男は、 自らの顔を切り刻んで皮を剥がすが、 それは女の幻覚なのか。 不思議なことに殺人は、 女が描いた絵の通りに進む。 最後に大きなどんでん返しを残して・・ テーマ曲が 「サスペリア」 とよく似ていて、 意識したのだろう、 目玉グサリなんかも登場する。 また外れたエントリーになってしまった。 。



ホーンテッド・ハウス KOLOBOS (1999) 日本未公開 
監督 ダニエル・リアトウィック+デビッド・トッド・オクバーク 
エイミー・ウェバー ドニー・テラノヴァ ニコール・ペレリン 
ホーンテッド・ハウス [DVD][DVD]

ゾンビ・ストリッパーズ -コレクターズ・エディション- 無修正版 [DVD] 赤い影 [DVD] ウィッカーマン (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第4弾) [DVD] 屋敷女 アンレイテッド版 [DVD] クライモリ デッド・エンド [DVD]

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7.29.2009

カッパは宇宙人? 「都市伝説セピア」




おとといWOWOWで放送されたホラー、 と言うよりダークファンタジーだが、 こういうのも やがてDVDになるしエントリーしておこう。 セピアと言ってもソイヤソイヤと踊るわけではない.. が 「トワイライトゾーン」 の系譜として淡々と見れる。

オムニバス3話構成になっていて、 落合正幸などが監督し、 日本の役者はスクリーンもテレビも選ばないせいかキャストはメジャーで、 オリジナルビデオなどよりはお金がかかってそう。 人間は幻想なしには生きられないとして、 都市伝説をでっち上げ、 ネットで広げ、 やがては都市伝説そのものになってしまう男の物語。
フクロウ男」 監督 落合正幸/出演:成宮寛貴

'氷詰めの河童' という懐かしアイテムが出てくる二話目。 30年前、 小さな女の子に案内されて河童を見るが、 それは宇宙人かもしれないという含みを残して、 男は30年後、 氷詰めになった少女を迎えにやって来る。
アイスマン」 監督 八木毅/出演:入江甚儀 松元環季 佐野史郎 

死者の顔を描く画家と、 彼女を取材するためにアトリエに出向いたフリーライター。 20才で自殺した青年に恋し、 彼の手記に導かれたと語る画家、 だが そこには隠された真実が・・。
死者恋」 監督 落合正幸/出演:原沙知絵 いしのようこ 余貴美子 

三話目の原沙知絵、 久しぶりに見た気がするのは、 自分がテレビを観なくなったからだろうか。 二話目の少女役の松元環季は、 やたら闊達なセリフ回しに圧倒されるが、 どこかで見たと思たら 「仮面ライダー電王」 のコハナだ。 プロフィールを見ると、 うちの娘より一つ上なのか、、 子役って特定の数人に集中するよね、 また この子かって。 テレビを観なくなったと言いつつ、 限定的には観てるのだ^ ^

都市伝説セピア (2009日本)
 » 原作本  

7.28.2009

イタリアよ、お前もか.. 「湖のほとりで」



"イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナッテロ賞で史上最多の10部門を受賞" とのことだが、 どこかの国の映画賞のようにガラパゴスな印象がつきまとう。 タイトルから何となく文芸モノかと思っていたが、 ようするに刑事モノだった。 湖のほとりで娘が殺され、 犯人捜しにからめて さまざまな人の人生を窺い知る、 みたいなオーセンティックな内容。 しかも最後に犯人がわかっても、 とくに どんでん返しでも何でもなく、 はい、そうですかという感じ。 最近フランス映画がパッとしないなと思っていたら、 イタリア映画もか。 。

予備知識なしに見るので、 最初は小学生の女の子が誘拐されちゃうのかと、 このへんはリアルに恐いので強ばって見ていた。 すると肩すかしを食らわされて、 17才の死体が発見される。 綺麗な娘だった。 小さな村なので担当の刑事も彼女をよく見かけた。 毎朝ジョギングを欠かさず、 優秀なホッケーの選手で、 自閉症児の世話もしていた。

さまざまな人生と言っても、 ともすれば痴呆症、脳腫瘍、 自閉症、 知的障害、 身体障害に傾く。 死んだ娘は脳腫瘍であと数ヶ月の命だったことがわかる。 ビスケットを喉につめて死んだ自閉症児の両親の真実、 知的障害の男と車椅子の父、 30才になってもフラフラしてる感じの彼氏だけは健康だが、 刑事の妻も痴呆症、 刑事は一人娘との関係もギクシャクしている。 死んだアンナの父は泣き崩れているが、 娘の水着姿をスケベそうに追ったビデオが出てきたりする。 え、 こんなベタな内容で史上最多の10部門? おまけにアンナは検死の結果、 処女だった・・だと?

さすがにイタリア、 街並みや風景はどこを撮っても絵になるな〜なんて気分で見られたのも最初のうちだけで、 だんだんと この映画の実態が見えてきてしまう。 宣伝や世評で見て失敗する好例になってしまった。 上のイメージは よさそうに思えたんだけどね。

湖のほとりで (2007イタリア) 日本公開2009 
LA RAGAZZA DEL LAGO/THE GIRL BY THE LAKE
監督 アンドレア・モライヨーリ オフィシャルサイト&トレーラー 
トニー・セルヴィッロ ヴァレリア・ゴリノ 
湖のほとりで [DVD][DVD]

縞模様のパジャマの少年 [DVD] 扉をたたく人 [DVD] 夏時間の庭 [DVD] セントアンナの奇跡 プレミアム・エディション [DVD] ポー川のひかり [DVD]

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7.27.2009

父、不要? 「リリィ、はちみつ色の秘密」



そろそろDVDになる頃なので取り上げてみたいが、 まず このトップのイメージに違和感を持たれたのではないだろうか。 アメリカではこんなビジュアル、 日本では下のDVDジャケのようなビジュアルで宣伝されているので違う映画に思えてしまうのだ。 上はサイト用のオリジナルイメージということもあるし、 アメリカでもポスターやDVDはもっと落ち着いたクラシックな感じではあるが、 いずれにせよ大きく雰囲気が異なる。 原題と邦題でイメージ検索すれば、 出てくる写真の傾向の違いに唖然とすることがよくあるのだ。

それぞれの国民性にあわせてのマーケティングに他ならないが、 日本版のテイストは正直、 あまり見る気がしなかった。 自分の好みが偏ってるというより、 なんとなく見えてしまう感じだったのだ。 アメリカ版の方が微妙に興味をそそられる。 どんな映画か見当がつかないから^ ^ で見終わって、 結局どっちの雰囲気が より映画にマッチしているかというと、 アメリカ版のほうではないかと。

舞台は1964年、 黒人の公民権運動が実を結んだ年。 黒人に選挙権ができたが、 南部では選挙者登録に行くと殴られたり、 拉致され殺されたケースもあったとか。 多くの黒人が使用人であったり乳母であった時代、 母に捨てられた白人の娘は、 自分を思ってくれる三人の黒人を母と考えるようになるという話。 ダコタ・ファニング演じるリリィは原作者自身なのだろう。

ハチミツは、 かつては乳母であったオーガストが自立のために始めたビジネスで、 その味は町でも評判だった。 家出をしたリリィは母の思い出をたどってこの地にたどり着き、 オーガスト、 ジューン、 メイとカレンダーの名前で呼びあう三人の姉妹に出会う。 リリィは実家の使用人であったロザリンとともに家を出るが、 やがてロザリンは欠けていた月ジュライとなる。 リリィはミツバチの飼育を手伝い、 女王蜂のいる巣箱の中の秘密に思いを馳せる。

母性、 女王蜂・・ これらのメタファーを通じて母と娘、 あるいは人種や血縁を超えた愛が描かれているのだろう。 しかしリリィの実父は、 うだつの上がらない偏狭な南部白人男というだけで終わらされているし、 拒否され続けてもジューンに結婚を迫る男は添え物のような存在だし、 メイが思い寄せたザックは黒人ながら弁護士を目指すが、 リリィと映画館にいるところを見た白人たちに拉致され、 リリィへの恋心は時代が変わるまで保留とするような意気地なし。

60年代中盤にまだKKKのようなことがあったのは信じられない気がするが、 本作は総じて男を卑しく描いている古いタイプの女性映画という気がしなくもない。 オバマ大統領が出てくるような背景の中で注目された原作なのかもしれないが、 歴史的なことも政治的なことも抜きにして見ると、 ピンクに塗られた家で快活に暮らす女たちは素敵に思えたが、 それ以上の感銘はない。 お父さんだって頑張ってるしリリィを愛しているに違いないのだが、 ここでは母のことを聞き出す情報源にすぎないのだ。

"The Runaways" を撮影中のダコタ・ファニングにも注目して見たが、 想像以上に子供で、 これでチェリー・カリーが演じられるのか心配になる^ ^ まあ お暇なら見てもらって、 どんなキービジュアルがいいか考えるのも一興だろう。


リリィ、はちみつ色の秘密 THE SECRET LIFE OF BEES (2008) 日本公開2009
監督 ジーナ・プリンス=バイスウッド 原作 スー・モンク・キッド 
クイーン・ラティファ ダコタ・ファニング ジェニファー・ハドソン 
アリシア・キーズ ソフィー・オコネドー  オフィシャルサイト&トレーラー 
リリィ、はちみつ色の秘密 (特別編) [DVD]特別編 [DVD]

 グラン・トリノ [DVD] フロスト×ニクソン [DVD] バビロンA.D. (特別編)  [DVD] 7つの贈り物 コレクターズ・エディション [DVD] イエスマン “YES”は人生のパスワード 特別版 [DVD]

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7.26.2009

ヘンタイ王子 「愛のむきだし」



大作だ。 4時間?! DVDだから何とかなったようなものの、 劇場へ出かけようものなら半日仕事だっただろう^ ^ 海外の賞がどうとか宣伝されていたように思うが、 ほんとうに海外で理解されているのか。 キリストも医者も殴り倒したような内容で、 さらに これだけパンチラやヘンタイを盛り込めばグローバルになれるはずがない^ ^ ところがIMDbをちらっと見てもすごい星の数で Perfect Movie! とまで言われてる^ ^ ついに時代は園子温に追いついたか。 。

「ノーパンツ・ガールズ」 は傑作だった。 「自殺サークル」 と同じ人が関わったと思えず、 その頃からいつも大穴的存在だったが 「紀子の食卓」 ではすでに巨匠だった。 モノローグが入ると文芸調だし、 セリフ回しは大げさだし、 それでいていつも そのひらめきと構想力に圧倒される。 構想とは言っても自然に湧き出た感じ (というか特殊な思考回路による連鎖的思いつき?) で、 推敲などとは無縁の、 むしろ推敲してしまってはいけないような、 B級と言えばB級な、 だが映画ならではの疾走感と鮮血が画面に炸裂している。

DVDでは上巻・下巻に分割されているが、 4時間と聞いて多少ビビった。 だが上巻はあっという間に終わり、 不思議なことに まだ下巻が残されていることがうれしかった。 スチールで見ていた左下の忍者のようなショットが、 まさかパンチラ盗撮をしているシーンだとは思わず かなり呆れたが、 バックに聖歌が流れる中でそんなエピソードが展開されると、 これまた独特の映画体験となる。

新興宗教がらみで言えば 「ポーラX」 や 「カナリア」 が思い出されるが、 このザ・ゼロ・チャーチは逆に戯画化を狙ったのか、 そうなっちゃったのか、 テニスウェアのプロンプターたちは昔の森田芳光監督を彷彿とさせるような '感性' の偏りが楽しい。 何だかんだでタランティーノ的になってきたかと思えば、 最後は坂口拓流のポーズでドカンと決めてくれる。

精神病院を飛び出してヨーコの乗ったパトーカに追いつくが、 別にそこでガラスを割ることはないのに^ ^ と最後まで暴走。 板尾創路から宮台真司まで登場するゲストも豪華?で、 もっともっと褒めたいが、 自分の場合あまり褒めると反対に受け取られそうなので このへんにしとく。 しかしこれは何映画なのだろう。 スプラッターあり、 アクションあり、 片手に社会派、 片手に自爆テロを抱えたような、 ラブストーリー。 。 とにかくヘンタイのみなさんは必見!



愛のむきだし (2009日本) 公式サイト&トレーラー 
脚本・監督 園子温 アクションデザイン 坂口拓 
西島隆弘 (from AAA) 満島ひかり 安藤サクラ 渡辺真起子 渡部篤郎 
愛のむきだし [DVD][DVD]

プライド デラックス版 [DVD] AAA TOUR 2009-A DEPARTURE PARTY- [DVD] 紀子の食卓 プレミアム・エディション [DVD] チェイサー ディレクターズ・エディション【初回限定生産2枚組】 [DVD]

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