2.28.2009

祭りのあと 「GSワンダーランド」



グループサウンズ・・ まあシンプルな呼び方だ^ ^ さすがにリアルタイムで体験したわけではないが、 GSの曲というのは今聴いても独特な感じがする。 自分らの世代で言えばバンドブームが近いのかなと思うが、 この映画ではGSブームも末期となる頃にスポットを当てているのが興味深い。 当初はビートルズやストーンズの日本への飛び火だったのが、 いつのまにか王子様やガラスの人形といったイメージをまとい、 切ない歌謡曲に変貌していった。 それは日本独自の展開であり、 なぜそうなったのかの考察もきちんと描かれている。 ようするにそれがウケた、 好まれた、 売れただけのこと。 レコード会社のオモチャとなったGSブーム最後の4人は、 本格派ロックを自称するグループと敵対しながらも最後に "この1年は楽しかった" と言い切る。

60年代カルチャーに造詣の深い監督のわりに、 マッシュルームのかつらが重々しかったり、 レトロな気分があまりしないが、 あえて それを狙ったのかもしれない。 4人が目指した日劇の舞台、 外観はいい感じで再現できているが、 中は何となくショボく思えた。 そんなものだったのだろうか。

メンバー4人は最初ミスキャストな気もしたが、 物語が始まってみれば しっくりくるのは実力だろうか。 脇は贅沢に固められ、 苦い笑い満載で安定して物語は進む。 それほどよくできたプロットだとは思わないが、 オリジナルのGS曲10曲+おまけのコーラスグループ曲まで作って展開される勢いと、 すべてが出尽くした後のわびしさみたいなものは、 不思議と現在へとつながって妙な感慨が残る。 "これからどうしようか・・" その答はやっぱりここにもないが。


GSワンダーランド (2008日本) 公式サイト&トレーラー 
監督 本田隆一 音楽 サリー久保田 
栗山千明 石田卓也 水嶋ヒロ 浅利陽介 武田真治 高岡蒼甫 
杉本哲太 大杉漣 片桐仁 温水洋一 湯原昌幸 岸部一徳 

2.27.2009

思い出は水の中 「つみきのいえ」



海外版で見たので長澤まさみのナレーションは入ってなかったが、 そもそも必要はないようだ。 セリフは全くなしの12分の短編作品、 アカデミー賞を取らなかったら知りもしなかっただろう。 未公開とは言え、 そもそも劇場公開を前提に制作されているのではないようだ。 一時期チェコなどの短編アニメを見た時期があったが、 最近は見なくなったなあ。 と言いつつ、 ここのところアニメのエントリーが続く。

水の上にちょこんと顔を出した家に、 じいさんは一人で住んでいる。 ある日 目が覚めると、 また水位が上がっている。 じんさんは階上にレンガをせっせと積んで家の増築を始める。 まるで積み木の家のように。 どうしてこんな状況になったのだろうか。 説明は一切ないが、 地球温暖化のせいか。 。 このエコなテーマによってアカデミーを取ったのだろうか。 そんなことを考えているうちに、 果たして何階になるのだろうか、 じいさんの新しい部屋は完成する。 水没した階下から、 ボートでせっせと家具を運ぶが、 その際に愛用の煙草パイプを水の中に落としてしまう。 床には魚釣り用の穴が開いているのだが、 そこからずっと下の階まで沈んでしまった様子。 じいさんは意を決してアクアラングを背負い、 水に潜ってパイプ回収に。 1階下、2階下と潜っていくとそこには数々の思い出の品が水没していて、 今は亡き婆さんや娘と過ごした日々が走馬燈のように蘇る・・

ここまで書いてしまうとネタバレになるだろうか。 ポイントはストーリーというより、 見ないことにはわからない味わいなので大丈夫かと思う^ ^ 自分的には さほど絶賛する気はないが、 フランス語のタイトルが付いているし、 予備知識なしに見たら日本の作家によるものだとは思わないだろう。 そんな不思議なニュアンスも味わいのひとつ。

つみきのいえ La Maison en Petits Cubes (2008日本) 日本未公開 12min
監督 加藤久仁生 *アカデミー短編アニメ賞 

平和を知らない子供たち 「スカイ・クロラ」



こないだカラオケボックスで、 アフレコというのをやらされ・・ 「アムロいきま〜す」 とか、 歌だけでなくそういうのもあるんだね。 これがけっこう難しいもんで、 慣れればタイミングとかは合ってくるのかもしれないが、 アフレコが独特の表現ジャンルだというのはわかる。 だからといって本職の声優をことさら賞賛するつもりもない。 たまに洋画のDVDを吹替で見てみると、 テクニックだけでこなしているような仕事に遭遇することも多々。 ハリウッドのアニメ作品から始まった有名タレントの声の出演を押井氏までがやるとは意外だったが、 これはどう考えればいいんだろうね。 本作の声の出演については、 もっぱら棒読みなどと評されているようだが、 本職の声優を使っても同様の雰囲気に演出されたこととは思う。

実写映画でも最近の日本語は聞き取りにくく、 テレビに至ってはテロップを入れないことにはギャグがドーンと来なくなっているのではないか。 それは日本人の滑舌が悪くなったからか、 しゃべりのテンポが速くなったからか、 あるいは深夜でボリュームを絞っているからか・・。 映画における音声の表現はもっと見直されてもいいように思う。

作品全般については何となくコメントを避けたい気もするが^ ^ '駄作との評判' に反して、 悪くはなかった。 多大な期待を持っていないからかもしれないが、 空中戦のかっこよさと平和を知らない子供たち "キルドレ" の悲しみ・・ 淡々と見れたし、 やはり独特のベクトルを持った作品だ。 後ろにプロペラのある飛行機のデザインにも微妙な感銘! 普段の会話は日本語で、 飛行機に乗ったら英語というのは無理やりだなとも思うが^^

スカイ・クロラ The Sky Crawlers (2008日本) アニメ
監督 押井守 原作 森博嗣 脚本監修 行定勲 公式サイト&予告編 
声 菊池凜子 加瀬亮 谷原章介 栗山千明 竹中直人 
 スカイ・クロラ コレクターズ・エディション (生産限定) [Blu-ray]
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starおまえら批判ばかりだなー
star凄いね・・・
star素晴らしいメーカーです
starこの映画好きです
star裏切られた
スカイ・クロラ [DVD] GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0 Blu-ray BOX 【初回限定生産】 GHOST IN THE SHELL-攻殻機動隊2.0 ORIGINAL SOUNDTRACK Blu-rayディスク付 SHM-CD仕様 アイアンマン 日本限定 フィギュア付 Blu-rayBOX (2枚組) MORI LOG ACADEMY 12 (モリログ・アカデミィ 12) (ダ・ヴィンチブックス)

2.26.2009

出戻りできない 「シリアの花嫁」



あの高原をごらん・・ などとオヤジギャグを飛ばせないほどに、 ゴラン高原はいま悲痛な状況にあるようだ。 イスラエルがこの地を占拠してから、 '元' シリア人にはイスラエル国籍を取得する権利が与えられているが、 そう簡単に "はい、 ありがとう" とはいかないだろう。 シリア人でもイスラエル人でもない無国籍のパスポートなんてものが存在するのだ。 一旦イスラエル人になればシリアへの入国は難しくなり、故国であるシリアへ嫁ごうものなら、 もう二度とここに住む両親や兄弟には会えないのだ。 それでも幸せを求めて国境を越える花嫁と、 それを送り出す家族の物語。

家族各人の問題も取り込んだグランドホテル形式になっていて、 説明も少ないので正直わかりにくかった。 しかしそれらの問題のほどんどが領土問題に起因するようで、 結婚式当日にもビザのスタンプひとつでイスラエル・シリア両国の担当官がもめて、 UNが右往左往するも結局 入国は許可されない。 このバカバカしいやりとりこそが問題のすべてなのだと。 映画を製作したのはイスラエルということから、 イスラエル内にも批判的な意見のあることを窺い知ることができる。

領土問題以外に、 アマルという '元' シリア人女性の意識の変化も大きく取り上げられる。 これから大学へ行って学ぼうとする彼女を、 妻が勉強なんて男の沽券に関わるのでやめてくれと夫は言う。 "宗教上、演技は許されない" 女は、 あなたたち男が作った世界は今このありさまよ、 と言わんばかりに強い意志を持って状況の打開に向かっている。 つまらない意地の張り合いで入国を拒否された花嫁も、決めた道を後戻りはできないと歩き出す。

中東情勢に一歩詳しくなると同時に、 山積みの問題をかかえている人にも何らかの励みをくれる作品に違いない。


シリアの花嫁 (2004イスラエル・フランス・ドイツ) 日本公開2009.02.21〜
The Syrian Bride 公式サイト&予告編 
監督 エラン・リクリス *モントリオールグランプリ 
ヒアム・アッバス クララ・フーリ マクラム・J・フーリ 
シリアの花嫁 [DVD][DVD]

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2.24.2009

カンガルーと共に去りぬ 「オーストラリア」



クラシックで壮大な雰囲気は、 さしずめオーストラリア版 「風と共に去りぬ」 か? いまこんな映画を見せられても、 だから何?って感じがしてしまうが、 監督一世一代の大作に2時間45分おしりを痛くしてつきあうのも、 せちがらい時代のノンキな過ごし方としていいかもしれない^ ^

舞台は第二次世界大戦前夜の豪州、 大日本帝国軍の真珠湾奇襲があるまでは、 隣り合った牧場経営者どうしが熾烈な縄張り争いに精を出している。 イギリスからやってきたキッドマンの貴婦人ぶりは、 その細腰とともに絵になっているし、 牛が追い込まれる断崖絶壁など、 オーストラリアならではの地形がスケールを感じさせる。 アボリジニのじいさんや混血の少年が、 ややファンタジー寄りながらも独特の雰囲気づくりに貢献している。

しかしながら冒頭のノーテンキなノリにはやや引いてしまうし、 これで3時間弱・・ 大丈夫かな〜と思ってしまったのも事実。 いい白人、 悪い白人みたいな構図も何となく薄っぺらく、 アボリジニの精神性なども描けているのかどうか。 どの登場人物もいまいち印象に残らず、 テーマもはっきりしなければ娯楽性が高いわけでもない。 何だろうね、 この映画。 。 まあ楽しみにしている人もいるのかな、 これ以上水を指すのはやめとくか、 楽しんできてちょうだい。


オーストラリア Australia (2008オーストラリア) 2009.2.28〜
監督 バズ・ラーマン  公式サイト&予告編 
ニコール・キッドマン ヒュー・ジャックマン ブランドン・ウォルターズ 
オーストラリア [DVD][DVD]

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2.23.2009

はい。 「きまぐれロボット」



微妙な間とかテンポとか、 すごく心得ていて笑わせてもらったし、 もっと見たいなという感じ。 星新一の、 別にどうってことない原作、 ある意味落ちなしの展開が、 これまたユルく映像化されているといったところではあるが WALL・Eより好きだったりするなあ。

浅野忠信の真顔が効果的だし、 香里奈も心なしか他作より色っぽい。 あらたなポテンシャルを秘めたCM・PV系の監督のようだが、 比較的さわやかで、 こじんまりした感じもナイスかな。 さらっと見てほしい短編。 カタカタカタ.. "はい。" ..?

きまぐれロボット (2007日本) モバイル配信40min オフィシャルサイト 
原作 星新一 監督 辻川幸一郎 脚本 佐藤佐吉 音楽 小山田圭吾 
浅野忠信 香里奈 逢坂じゅん 夏木マリ