2.28.2013

ふりむかないで 「ワナオトコ 2」



前作と同じポスターに見えたので2とは気づかなかったのだが、 よく見ると背景が違うのとTHE COLLECT ・・ ORが IONになっている^ ^

ワナオトコは今回、 サイコ野郎に似つかわしくない人ごみに出てきて、 クラブのほぼ全員を殺すという荒技を繰り出したり、 侵入者やSWATの出動までを許してしまい、 証拠隠滅を図ろうとするなど人間的な一面?を見せる^ ^ そして最後はジェイソンみたいな消え方をする。 3への布石かなと思えば、 THE ENDの前にもう一幕あった。

残虐ではあるがエンタテイメント性を高めて、 ホラーというよりはアクションとして まずまずのデキ。 アレっぽかったりコレっぽかったりとオリジナリティには欠けるものの、 とくに期待してないので不満もない。 侵入者との格闘になってワナオトコはまたここでも、 サイコ野郎に似つかわしくない俊敏な動きと卓越したナイフさばきを見せるところなどは新境地か^ ^ 乞うご期待。 エントリータイトルは見てのお楽しみ。

(追記2013.6/8) 放題を 「ワナオトコ2」 と予測するもハズレ.. 「パーフェクト・トラップ」 とのことです。 どうでもいいけど^ ^



パーフェクト・トラップ THE COLLECTION (2012) 日本未公開
監督 マーカス・ダンスタン 
ジョシュ・スチュワート エマ・フィッツパトリック 

2.27.2013

ひらめきの素 “Lightbulb”



ビッグタイトルが続いたので、 ここらで一息、 と言っちゃ申し訳ないが^ ^ いつもならここでホラーがくるところ、 不作中につき、 こんな作品を。 「ジェレミー・レナーの」 と冠がついているがレナーは脇役。 詐欺的なショルダーはカットしてご紹介しよう。

"おしゃべり栓抜き" なる商品をご存知だろうか。 Talking Bottle Opener というアメリカ発のアイディア商品は、 フラフープ、 フリスビー、 水鉄砲に次ぐ史上4番めのヒット商品らしいが、 まったく知らなかった^ ^ その発明者周辺の人々を追った実話に基づくお話で、 発明品のテイストがどことなく古めかしいせいか、 昔の映画かなと思いきや2009年の作品。

空中にはさまざまな電波が飛んでいて、 それをキャッチするのがアイディアと話す発明家。 サポートするのは昔で言うところのスチュワーデスの彼女、 そしてレナー演じる共同経営者。 ヘンなものを思いついては商品化して売るが資金はつねにショート、 テレビショッピングに持ち込めば取り分は4%と言われ、 あげくはアイディアを盗まれたりと上手くいかない。

あきらめかけた時、 成功はもうそこまで来ているというエジソンの言葉を思い出し、 傷心のバーでの思いついた起死回生のアイディア。 成功報酬は3分の1づつということで最後の大勝負に出るが、 発明家はここで偉そうな顔をしたりしない。 アイディアがひらめいて得意そうな顔はするのだが、 俺のアイディアで持ってんだろなどという顔はしない。 このあたりが素敵だなと思えたね。

まあ大した発明ではないものの^ ^ 彼女の微笑みや悪友の誘惑もまたひらめきの素を提供してくれてるとも言えるわけだ。 ここに21世紀型のビジネスモデルがある、 なんて大げさなことは言わないが^ ^ 見ているこっちまで楽しくなる作品だ。



逆転のメソッド Lightbulb/Ingenious (2009) 日本未公開
監督 ジェフ・バルスマイヤー 
ダラス・ロバーツ アイェレット・ゾラー ジェレミー・レナー 
リチャード・カインド 

2.26.2013

0から0へ “AMOUR”



好きな数字は? と聞かれたら0と答えることにしている。 (もっともそんな質問もあまりされないが^ ^) 本当に好きかどうかはさておき、 それが質問をかわす唯一の例外的な数字だからだろう。 好きな色はと聞かれても気分によるから答えに困るし、 好きな季節と聞かれた日には、 夏には冬と、 冬には夏と答える。 そんなアマのじゃくな自分だからハネケは好きなほうだが、 今回は予想通りの展開すぎてやや拍子抜けした。 (予想通りに賞は取っているが) *カンヌパルムドール/アカデミー外国語映画賞 他

人間は生まれて、 立つことも話すこともできない赤ん坊から、 成長し、 大人になり、 老いてまた赤ん坊に帰っていく・・ というような解釈を聞いたことがあるが、 老いた妻のそんな状況に立ち会う老いた夫は、 人生で獲得した知識や経験が0に帰っていくことに耐えられなくなる瞬間を迎える。 その様子を当事者の立場から、 そんなことを理解しようのない若い人の視点も交えて淡々と描く。

愛、 アムール? 同じ意味の言葉を安易にくり返すな。 邦題はすでに末期的だ。 それよりこの映画は誰が見るのだろう。 若い人でこの映画に惹かれるならよっぽどの変わり者だろうし、 当事者はこんなわかりきったことにどれだけ興味が持てるだろう。 その中間だって劇中の娘のようだろうし。 つまりターゲット不在の王道的な死の物語に "愛" と名付けて賞を取る。 これこそがハネケ最大の企みだったのではないだろうか。 アカデミーまで取ったし、 客は入るんだろうな。 。 乞うご期待。


愛、 アムール AMOUR (2012 フランス・ドイツ・オーストリア) 日本公開2013.3/9
脚本・監督 ミヒャエル・ハネケ 公式サイト・予告 象のロケット
ジャン=ルイ・トランティニャン エマニュエル・リヴァ 
イザベル・ユペール アレクサンドル・タロー 

2.25.2013

救われない男 「ザ・マスター」



ハリウッドなどにも影響力のある某新興宗教をモデルにしているとのことで、 暴露的な内容かと思っていたら、 まったく違ってた。 むしろ信じられれば楽なのに、 救われたいのに、 いざ手が差し伸べられると拒否してしまう。 そんな男を描いているように感じた。 それは監督自身かもしれないし、 自分とて共感を覚えなくはない。

しかしその共感をも阻むものがあるようにも思えた。 それはホアキンだろうな。 一所懸命やってるのはわかるし、 相当な迫力ではあるのだが、 仮に、 もっと普通っぽいナイーブめなキャラの俳優だったら・・。 マスターとの対比だけでなく相似性も明確になったように思える。 しかしその救われなさだけは痛々しいほど伝わった。

第二次大戦が終わり、 虚無だけを持ち帰った兵士。 彼の心にあるのは、 失われた愛。 飲んだくれて暴れ、 一風変わった男に拾われる。 トラウマからの解放を説くとともに実践的な方法論を持ち、 本も出版して躍進中の教祖様だった。 兵士が彼を気に入ったというより、 兵士のことを気に入ってくれた人間は彼一人しかいなかったというのが正しいだろう。 教祖はインテリで笑いを尊重し、 壊れた男を父親のように見守った。

やがて教祖は二冊めの本を出版するが "A級の神秘主義者" との批判を受けると、 兵士は批判者の口を暴力で封じた。 何を言われても平静を保つという新しいメソッドを身につけても内にある怒りを封殺することはできず、 ある日 兵士は教団を後にする。 そして "戻ってくる" と約束をした女の元を訪ねるが、 結婚して引っ越したと聞かされる。

拠点をイギリスに移した教団から再び救いの手が差し伸べられるが、 兵士は傷を忘れようとせず、 むしろ自分を形作っているものこそ その傷であることに自覚的になっていく。 それがたとえ自分を、 どこへも導かないとしても。

家族を中心とした教団に、 教団のなりたちってこんな感じなのかというリアリティが感じられたと同時に、 実の家族ですら半ば冷めた目で運営する組織のなかにあって、 流れ者のほうが疑念を払おうと必死なのは皮肉だ。 愛を引き裂いたのが戦争か自分自身かはもはや問うまでもなく、 アカデミー賞の行方もまったく気にならないが、 見応えのある1本であることは間違いない。 乞うご期待。



ザ・マスター The Master (2012) 日本公開2013.3/22 公式サイト・予告
脚本・監督 ポール・トーマス・アンダーソン 
ホアキン・フェニックス フィリップ・シーモア・ホフマン エイミー・アダムス 
アンビル・チルダース ジェシー・プレモンス マディソン・ビーティ ローラ・ダーン 
オリジナルスコア:ジョニー・グリーンウッド (radio head)

2.24.2013

青春 '参加' 「ウォールフラワー」



JUNO」 の製作会社に原作をピックアップされ、 脚本・監督までを原作者自らが担当。 俺にやらせろ、 でないと映画化権は渡さないとでも言ったのかな。 しかしキャストに助けられてるとは言え、 文句のつけどころもなく こなしている。

時代は、 音楽を聴くのにカセットテープが主流であった頃。 選曲を凝らした mixed tape を彼女や彼にあげたり。 文科系落ちこぼれの三人は、 カーラジオでボウイの "Heroes" を聞く。 その時点ではそれが誰の何という曲か知らないまま、 タイタニックポーズで夜を疾走し、 一瞬を永遠に変える。

"ウォールフラワー" とは '壁の花' だが、 辞書によるとダンスパーティなどにパートナーを同伴しないで来る者のことを言うらしい。 そう言えば昔のディスコは同伴でなければ入れなかったなあ、 などと関係のないことに思いを巡らす。 目立たない存在、 というニュアンスでもあり、 原題は '壁の花だっていいことあるさ' くらいの雰囲気か。 自殺した親友に綴る手紙として物語は語られ、 幼い頃のフラッシュバックがときおり入るが、 それらを問題意識を持って取り上げるというより、 ありがちな心の傷の一つとしてさらっと取り込んだ今風の青春物語と言える。

ロッキー・ホラー・ショーなども出てくるが、 時代色はさほど濃くなく、 ゲイが問題になって初めて、 ああ、 そうかと思う。 さらにドラッグネタになると、 さすがに進んでたんだなと。 作家志望のチャーリーが "好きなバンドは?" と聞かれて "ザ・スミス" と答えるあたりがコレなどともシンクロする。 80年代に十代だった暗めのアメリカ人と言えばやはりスミスなんだと。 しかし写真で見る限り監督/原作者はかなり明るそう^ ^

エマ・ワトソンも 'まつじゅん' 似のエズラ・ミラーもグッドキャスティングに思うし、 Dexys Midnight Runners "Come On Eileen" を含むサウンドトラックも充実しているが、 トレンディドラマとしては上質、 しかしそれ以上でも以下でもないという感想となった。 ハマれる人はハマれるのだろう。 乞うご期待。




ウォールフラワー the perks of being a wallflower (2012) 日本公開2013.11.22
原作・脚本・監督 スティーブン・チョボウスキー 
ローガン・ラーマン エマ・ワトソン エズラ・ミラー 

2.23.2013

二日酔いにはXXX、いいクスリです 「フライト」



予備知識なしで見たので、 会社か政府の陰謀をパイロットが暴くような話と勝手に思ってた。 ところがまったく違って、 キャッチにある通り 「彼はヒーローか犯罪者か」 ・・ 答えはどちらでもあり、 どちらでもない。 ただの人間だったということか。

朝、 あと数時間でフライトというパイロットはまだホテルの部屋で乱れている。 それでもいざ飛び立ったらシャキっとして、 乱気流を切り抜けたりする。 しかしその後、 さらに致命的なトラブルが発生、 操縦不能となって飛行機は急降下。 普通だとこのまま・・ というところ、 彼の荒技によって不時着を遂げる。 102名中96名が生還という奇跡を起こす。

墜落しかかっている飛行機での彼の冷静な対処ぶりが非常にカッコいいのだが、 彼が病院のベッドで目覚めてからは雲行きが一変する。 彼には飲酒運転ならぬ飲酒飛行、 さらにはドラッグ使用の疑いがかかっていた。 そしてそれは疑いではなく、 事実だった。

調査の結果、 事故の責任は会社側の整備不良であることが明白になったが、 彼がアルコールとクスリ漬けであったことは状況をややこしくする。 旧友や弁護士に助けられながら諮問会を切り抜けようとする彼であったが・・。

ベテランのパイロットともなるとこんなものか、 という出だしだったし、 窮地に陥ったときの冷静さがあまりにカッコいいので、 まさかその後そんな展開になるとは予想だにせず、 なかなか面白かったし、 ワシントンの演技力も再確認したが、 やはりその後の進行のなかでもそれほどアル中に見えず、 きれいな終わり方ではあるがカタルシスはあまり感じない。 つまりこの間の葛藤の描き方が不十分なんだろうな。 あなたのハートには何が残るでしょうか。 乞うご期待。


フライト Flight (2012) 日本公開2013.3/1 公式サイト・予告
監督 ロバート・ゼメキス  象のロケット 
デンゼル・ワシントン ケリー・ライリー ドン・チードル 
ブルース・グリーンウッド ナディーン・ヴェラスケス 
タマラ・チュニー ジョン・グッドマン