11.06.2011

サソリのスカジャン 「ドライヴ」



始まってすぐ、 何かに似てると気づいた。 「ザ・ドライバー」 (1978) ・・ ストーリーはかなり違うし、 こちらは原作があるらしいが、 ドライバーというキャラクターはウォルター・ヒル監督のあのオリジナル脚本にインスパイアされているらしい。 ライアン・オニールが演じたドライバーはカッコよかった。 この役にゴズリングはぴったりだし、 名前もライアンだが、 あれほど始終しかめっ面ではなく、 ときおり寂しげな笑みを浮かべたりもする。

オニールのドライバーはホテルの部屋で一人、 小さなカセットテープを持ち歩いてはカントリー曲を聴いていたが、 ゴズリングのドライバーにそんな趣味はない。 オニールに表向きの職業はなかったように記憶しているが、 ゴズリングはカースタントマンであり、 修理屋に勤務している。 オニールはひたすらクールだったが、 ゴズリングはかなり血なまぐさい。

イザベル・アジャーニが演じたザ・プレイヤーも出て来ないし、 ブルース・ダーンが演じたザ・ディテクティブもいない。 ゴズリングは隣の部屋の人妻のムショ帰りの男のために一肌脱ぐほど純情だし、 その子どもといっしょにテレビを見るくらいには子ども好きだが、 得体の知れない寂しさだけは受け継いでいる。 ともあれ普通に面白く、 カンヌで監督賞を取った演出は音楽が効いている。

どうせなら半分は 「ザ・ドライバー」 で、 あと半分は 「タクシードライバー」 にすればよかったなどと言ってみても始まらないか。 けっこういい線だとは思うが、 何かが足りない気もした。 それは何だろう。 今っぽさだろうか。

日本公開は決まっているものの、 まだまだ先。 春には似合わなそうな気がするが、 乞うご期待。




ドライヴ DRIVE (2011) 日本公開2012.3/31 公式サイト 象のロケット 
監督 ニコラス・ウィンディング・レフン *カンヌ監督賞  
ライアン・ゴズリング  キャリー・マリガン ロン・パールマン 
オスカー・アイザック アルバート・ブルックス 
クリスティナ・ヘンドリックス ブライアン・クランストン 

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